R-TIME’S
06
異文化コミュニケーション学部異文化コミュニケーション学科3年
鈴木優羽さん
日本での厳しい
難民問題を知った
海外フィールドスタディ

将来は国際協力に携わることを視野に
難民問題を軸に日本語教育も勉強中

将来は国際協力に携わることを視野に
難民問題を軸に日本語教育も勉強中

R-TIME’S
06

将来は国際協力に携わることを視野に
難民問題を軸に日本語教育も勉強中

小さい頃から国際協力に関心があり、異文化コミュニケーション学部を選びました。国際協力に興味をもったきっかけは、小学校から立教の関係校に通い、「弱い立場の人に寄り添う」という教育方針にふれてきたからです。経済的なことや生まれた環境で、自分と同じ年代の子どもたちが労働する世界の現状を、他人事で済ませることができなかったのです。

1年次の秋学期に受けた「多文化共生概論」という授業は印象的でした。日本の多文化共生について、外国ルーツの子どもや技能実習生など、日本に生活している難民や移民にフォーカスするという内容です。日本に難民がいることをあらためて自覚し、その受け入れ人数の少なさや強制送還される事実にショックを受けました。実際に、難民申請中のイラン人の方が当事者として授業で話をしてくれました。たくさんの国がある中で、せっかく日本を選んで来てくれたのに、現実は寛容でない扱いを受け、居場所がないという現状。内戦で命の危険があって逃げてきたにも関わらず、「世界の中で自分が生きられる場所がない」という言葉が心に刺さり、難民問題をもっと追究しようと思いました。そこで2年次に受講したのが、「海外フィールドスタディ」です。

海外フィールドスタディでは、マレーシアの文化や政治、さらにはマレーシアにおけるロヒンギャ難民について学びました。残念ながらコロナの影響で海外でのフィールドワークはできませんでしたが、マレーシアの大学生とオンラインでディスカッションする機会がありました。私はマレーシアではロヒンギャ難民についてどう捉えられているのか質問したのですが、その答えは「ロヒンギャの話題はマレーシアの社会を分断するから、その質問はしないでほしい。実際にマレーシアで聞いてはいけない」と言われ、とても驚きました。回答は得られなかったけれど、当該国では、とてもセンシティブな問題だということを知ることができたのも一つの学びでした。

これまで自分が履修した授業の中核には常に難民問題があったことから、3年次からは実際に国際協力に従事している人たちの話を聞ける「国内フィールドスタディ」を受講し、ゼミも難民問題をはじめ、貧困や女性のエンパワーメントについて扱う日下部ゼミに入りました。国内フィールドスタディでは、これまでに国際協力NGOや国際環境NGOの方たちの話を聞くことができました。国際協力NGOでは、労働を強いられる子どもたちへの支援活動を学び、実際に事務所でボランティア活動をしたり、寄付のキャンペーン企画を学生だけで考えて提案したりしました。国際環境NGOでは、フィリピンのバナナ農園と日本の関係について学び、作り手にとって危険な農薬を使い、健康被害を受けながら安く売られている実態を知りました。私たちがふだん享受する商品が、誰かの犠牲のもとに店頭に並んでいること、国の優劣が貧困を生んでいることなどを学び、国際的な視野で商品取引を見る視点が身につけられました。各団体の活動内容だけでなく、将来、国際協力関連の仕事をするために必要なキャリアについても聞くことができたことは幸運でした。国際協力の分野で働くためには決まった形というものはないと知り、キャリア構築のヒントをもらったことで、将来の選択肢が広がったと思います。

学部直轄の学生団体「LINK CIC」で学部生のキャリア支援

異文化コミュニケーション学部の学生は自由闊達で、好きなことを究めようと努めている人が多いと感じています。グローバルなことに興味があることと関係しているのかもしれませんが、勉強やサークル活動はもちろん、さまざまな分野の活動に積極的です。私自身も今年度から異文化コミュニケーション学部の学生に学生支援・キャリア支援・留学支援などを行う学生団体「LINK CIC」の活動に携わっています。今、取り組んでいるのは中国語カフェ。中国に関心のある異文化生を対象に、中国人留学生との交流会を開催します。また、イスラム教の留学生が食事をしやすいように、大学周辺でハラルフードを提供している店を調べてハラルマップを作ったり、異文化コミュニケーション学部の学生同士が交流しやすいように、プロフィールや夢を掲載する雑誌『ZINE』も発行しています。学部の専門分野は、社会的にはまだまだ周知されていないことが多く、外部に出るとマイノリティとなってしまうため、同じ目標をもった学生をつながりやすくするためです。私は秋からカナダへ留学するので、コロナ禍でも留学できることや、留学先での経験を後輩に伝える留学カフェを帰国後に企画したいと思っています。

また、日本語教員養成プログラムも受講しています。国際協力だけにとらわれず、教育科目を学ぶことで、一面的な考え方からシフトできるからです。立教大学には、実践的に非日本語母語話者への日本語学習サポートをする「立教日本語教室」があります。そこでわかったことは、決して日本語を学びたくて学んでいる人ばかりではないということ。生活のために学ぶ必要がある人もいるのです。国際協力とは異なる学問ですが、生活支援という点ではつながっていると感じます。国際協力と日本語教育、どちらのスキルも身につけられれば、将来的に言語教育という形で国際支援のアプローチができるのではないかと考えています。

英語に堪能な学生の中、「こうなりたい」と意識を変えてモチベーションアップ

異文化コミュニケーション学部は、帰国子女やインターナショナルスクール出身者、留学生など英語が堪能な学生が多いのですが、私は高校時代に2週間の短期留学に参加したくらいで、あまり英会話が得意ではありませんでした。最初は緊張しましたが、「わからないことは聞けばいい!」と開き直り、「こうなりたい」と目標を作ることでモチベーションを上げられました。また、この学部では、英語以外の言語も必修です。私は朝鮮語を選択しましたが、1年次の必修を終えた後も、レベルに応じた手厚いサポートがあり、継続して学ぶことができました。多言語を修得することは、多くの文化にふれられ、学業でもより多くの文献にあたることができるのがメリットです。秋から半年間留学するカナダは移民大国です。フランス語と英語の2ヶ国語が公用語で、多様なバックグラウンドをもった人たちが当たり前にいる点が、1つの言語、同質の文化を中心とする日本との違いだと考えています。そんな日本で育った私の固定観念を崩せるよう、多様性を肌で感じてきたいです。留学先でコミュニケーションがとれるかどうか不安はありますが、思ったことを正確に伝えるためにもがんばってきます。

まずは英語力が問われる学部ですが、高校生はそれだけにとらわれず、今やりたいことを一生懸命取り組んでみることも大事です。そこで生まれたコミュニティの中で、自分の知らないことを究めている人に出会え、身についた教養や知識が学ぶべき科目に結びつくはずです。立教大学はさまざまなプログラムが用意されていることが強み。卒業生や学生同士など、人と人をつなげてくれる機会が多いので、ぜひ入学してください。

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