R-TIME’S
06
経済学部経済学科4年
矢作峰士さん
「立教スポーツ」の記者
として体育会の情報を発信

立教で学んだ「考え抜いて伝える」姿勢を
社会に広げ、優しい人であふれさせたい

立教で学んだ「考え抜いて伝える」姿勢を
社会に広げ、優しい人であふれさせたい

R-TIME’S
06

立教で学んだ「考え抜いて伝える」姿勢を
社会に広げ、優しい人であふれさせたい

小・中学で野球、高校ではラグビー部と元来のスポーツ好き。大学でもスポーツを続けたかったのですが、ラグビーでケガを繰り返していたので不安もありました。そこで選んだのが、体育会機関紙「立教スポーツ」編集部です。高校時代に書いた卒業論文が評価されて、文章での表現に可能性を感じていたので、好きな「スポーツ×文章」で取り組める部活動は、自分にとってベストマッチだと思いました。

立教スポーツは、56団体ある体育会に関する情報を、年に5回の新聞発行のほか、ツイッターやフェイスブックなどSNSを通じて発信しています。1972年に創刊し、今年で50周年を迎えます。部員は記者としての取材・撮影はもちろん、2年生からは広告をとってくる係や実際の紙面を制作する係など、記者以外の仕事も必ず全員で役割分担します。

私はWebサイトの管理を担当してきましたが、SNSで配信するだけでなく、どのくらいの人がサイトを見てくれているのかをはじめ、性別や地域などの読者の情報が見えてくることにおもしろさを感じています。それによって、効率的に読者に情報を届ける方法を考え、配信時間や見出しの言葉を工夫するなど、それぞれのSNSの性質に合わせた発信を心がけた結果、閲覧数を約1.2倍に伸ばすことができました。

最近は、スポーツに興味のない人や学外の人にも読者を広げたいと考え、スポーツ関連にこだわらない特集インタビュー記事を掲載しています。たとえば、豊島区長へのインタビューをきっかけに、区内の公民館に新聞を置かせてもらい、区民の手に届く機会を得ました。

コロナ禍ならではのピンチもありました。飲食店からの広告が減り、発行に必要な資金が不足したことです。しかし、50周年という節目を迎える前に発行を絶やすことはできないと、部員全員が一丸となって資金集めに奔走し、卒業した先輩たちや共感してくれる企業によって助けてもらうことができました。

編集長も務めました。コロナによって情報発信の機会が失われ、部員の士気が下がっていた時期に立候補したのは、信頼して任せてくれる同期と共に、現状を改善したいという思いがあったからです。この部は新聞を作りたい人、スポーツが好きな人、新聞を通じて新しいことをしたい人等々、いろいろな動機で入ってきた人たちの集まりです。スポーツ部と違って、全国優勝などみんなで統一した目標が立てづらいため、気持ちをひとつにすることは容易ではありません。そのため、一人ひとりが何に取り組んでいるのか常に把握し、記事に対する感想を直接伝えることで、みんながモチベーションを維持できるよう働きかけました。また、私は情報発信にはWebが最も有効だと思っていましたが、立教スポーツでの活動を通じて気づいたのは、目の前の人をファンにしないと情報は広がらないということでした。そのためにも、他団体とのコラボレーションによって、人とのつながりをもつようにしました。大学生協や大学が管理する旧江戸川乱歩邸の協力による特集記事もコラボレーションのひとつ。記事がより多くの人の目に止まる努力をして、自分たちの活動への理解者を増やしたいと考えています。

全学共通科目「GLP」で学んだ、多様な他者とのコミュニケーション力

私は附属高校からの内部進学で立教大学に入りました。学びたいことを自ら選び、「自分で取りに行く」というスタイルが大事にされている立教大学のカリキュラムが、自分の肌に合っていると感じたからです。経済学科を選んだ理由は、データ分析を学びたかったからです。高校時代、ケガでプレイヤーとして活動できない期間が多く、その間、試合のデータ分析をすることで部に貢献できないかと模索しました。やってみると、試合をただ見ているだけではわからなかったことが、定量的に表すことで具体的に見えてきます。そんな数字の明瞭さに惹かれ、大学で専門的に学びたいと思いました。

大学への期待はとても大きいものでしたが、期待以上のものが得られました。中でも、充実した全学共通科目が気に入っています。「RSL(立教サービスラーニング)」は、社会と関わりながら学ぶ体験型の授業で、大学のある池袋周辺の人々にインタビューを行い、池袋というコミュニティについて調査しました。また、「GLP(グローバル・リーダーシップ・プログラム)」も受講しています。これは、従来のように一人のリーダーが活躍するのではなく、一人ひとりが役割を担って相互支援をしながら目標達成するという考えのもとで学ぶプログラムです。一方的に講義を受けて終わるのではなく、受講生同士の対話やグループワークがふんだんに盛り込まれています。また、学生が授業を進行する役割に回るチャンスもあります。達成すべき目標以前に、多様な背景をもつ人たちにどう伝えればうまくコミュニケーションをとることができるのかを考えることを重視したプログラムとも言えるでしょう。講師陣は立教大学以外にも、他大学で教鞭をとる人や国内外の企業で活躍する人など様々で、ここにも多様性が表れています。

興味あることを追いかければ、自然と進路が見えてくる

これから本格的に就職活動です。目指しているのは、広告・PR、リサーチなどの分野です。立教スポーツの記者を3年間続け、人の感動や思いをどう伝えるか考え抜いてきました。それは広告と似ていますし、リサーチもまた、結果をどう活用し、人にどう伝えるかが問われています。そのため、新聞以外のメディアが物事をどう伝えているか、街にあふれる映像やポスターは何を意図して表現しているのか、といったことを日常的に注意して観察するようにしています。GLPや立教スポーツを通じて、「考え抜いて伝える」ことを学びましたが、これは仕事だけでなく、さまざまなコミュニケーションの場で活かせると思います。だから、将来の大きな目標は「考え抜いて伝える」姿勢を世の中に広めること。最近の世の中はピリピリしがちですが、「考え抜いて伝える」という姿勢が広がると、相手の気持ちを推し量れる優しい人が増えるはずだと思うからです。

自分にどういう進路が向いているのか、まだわからないという高校生に伝えたいのは、授業や部活など高校で固定されたことだけでなく、興味あることは何でも調べたり、経験したりしてほしいということです。それを続けていれば、どの大学・学部に行きたいかが自然と見えてくるはずです。

私は今年度も、GLPを受講するつもりです。新しく開講される内容なので、講師の先生と一緒に1から授業を作り上げていくことを楽しみにしています。立教大学は規模が小さく一人ひとりの顔が見える大学ですが、全学共通科目を履修することで、とても大きな輪に広げることができます。また、立教スポーツは、オフでも試合を見に行くほどのスポーツ好きの集まりです。「日刊スポーツ」の設備を使用させてもらい、本格的な新聞制作が行えるので、スポーツや新聞制作に興味のある人はぜひ来てください。

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