R-TIME’S
11
文学部文学科フランス文学専修4年
松下真広さん
学部内プロジェクトで
こどもたちと交流

「豊島こども大学」で小学生と一緒に活動
こどもたちや行政、商店、大学との
交流・交渉で自らも学ぶ

「豊島こども大学」で小学生と一緒に活動
こどもたちや行政、商店、大学との
交流・交渉で自らも学ぶ

R-TIME’S
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「豊島こども大学」で小学生と一緒に活動
こどもたちや行政、商店、大学との
交流・交渉で自らも学ぶ

コロナ禍でも活動を止めたくない!今できることを模索

立教大学には「豊島こども大学」があります。これは立教大学文学部創立100周年記念事業としてスタートし、15年間継続させてきた活動で、文学部の学生が豊島区の小学生と共に、豊島区を知ろうという主旨で行っています。毎年、豊島区の協力で豊島区内の小学生を募集し、多彩なイベントを実施しています。

私は1年次から参加し、3・4年次には代表を務めましたが、2020年は緊急事態宣言下となり、小学生の募集自体を見送りました。4月からずっと何もできないまま過ぎていきましたが、このままでは活動を途絶えさせてしまうと考え直し、12月にオンラインでのイベントを企画。豊島区の協力で参加者を募り、4種類のゲームを用意しました。「家にあるものしりとり」では、こどもたちが楽しげに家中を駆けずり回って、モノを探してくる様子がうかがえました。また、豊島区に関わるものでつくった「豊島区クイズ」も、大いに盛り上がりました。

そして2021年。今度こそと大学と交渉し、しっかりとした感染対策を条件に、実施の許可をもらうことができました。そのため、通常であれば大学のチャペルで行う開校式をオンラインで実施し。夏休みには豊島区のSDGsモデル事業について学ぶためにバスツアーを計画し、防災機能等があるイケ・サンパークまで遠足をしたり、ハロウィンにはキャンパス付近の店舗を回る仮装行列も企画しました。

仮装行列は悪天候のため、こどもたちの安全を考えて中止としましたが、企画段階では、店舗への協力をお願いするための交渉や資料作りも学生が行いました。バスツアーも実施の許可を得るために大学側と交渉し、グループを3つに分けて少人数で行動することを提案。さまざまな部署による確認が必要で時間がかかるため、スケジュール管理に苦労しました。また、豊島区との交渉もあり、社会人に必要なビジネススキルを実践的に身につけることができたと思います。ただ、やはり一番のやりがいは、こどもたちの笑顔を見ることができたことです。 豊島こども大学は文学部が運営するため、きわめてオフィシャルな団体と言えます。立教大学の名を背負って活動するため、責任も伴いますが、様々な体験や人との交流の中で、共感力や想像力など人が生きる上で大切なことをこどもたちと共に私たち学生も学び、充実感を味わうことができます。参加したこどもたちが、人の痛みを想像し、その原因となる問題を解決できるような人になってくれたらいいですね。

フランス文学を読んで当時のフランスを追体験する

もともと読書が好きで、「人間はなぜ生きるのか?」といったことに興味があったので、大学進学を意識する頃には文学部に行こうと決めていました。フランス文学を学ぼうと思ったのは、高校の授業で18世紀フランスの哲学者ルソーのことを学んだことがきっかけです。フランス思想史の転換期において存在感の大きかったルソーを、単純ですが「すごい!」と思いました。

入学後は少人数で入門演習が行われます。2年次以降、それぞれに合った方向性を見つけるために一人ひとりの学生の特性を見ながら先生が指導してくれます。アットホームな印象で、学生もおだやかな人が多く、自分に合っていると感じました。3年次にフランスの詩やエッセイについて学ぶゼミに所属し、モンテーニュの「エセー」を輪読しました。基本的に訳文のテキストを読み解きますが、資料には原文もあり、訳す必要もあります。テキストには古めかしい記述もありますが、当時のことを追体験するような気分になれるところに学びの楽しさを感じました。

フランス語は正直なところ苦手ですが、まったく未習でも1・2年に基礎的な文法を教わって、フランス語検定4〜5級程度の力は身につきます。学年が上がると段階的に発展的な内容になり、「フランス語表現演習」ではネイティブの先生1人に学生3人という恵まれた環境で学べました。フランス語はそれなりに読めるようになり、街中のフランス語の店名を見て「冠詞が違う」と突っ込んだりすることも。語彙力が増えれば、もっとフランス語を楽しめると思います。

また、他学科・専修の授業も選択できるため、フランス文化とは関係なく、自分の興味を追究することもできます。ホラー映画が好きな私が選択したのは「現代SFとホラー」。最近公開されたホラー映画の源流がどこにあるかなど、知識をもつことで映画の見方も変わってきました。

必ず居場所がある立教大学で、がんばれることを探して

大学受験をした時、実は立教大学は第一志望ではありませんでした。ですが、今は立教大学でよかったと心から思っています。多様な活動があり、誰にでも必ず居場所が見つかる環境です。私が豊島こども大学の活動に参加したのも、自分自身が小学生の時に、地元の大学で同じような活動を楽しんだ経験があったからでした。自分が大学生になった時、同じように体験型の活動を子どもたちに提供したいと思っていたのですが、望む活動がありました。他にも立教大学には、学びに関することでも、サークルでも多彩な活動があるので、大学に入ってから、自分ががんばれるものを探してもらえたらと思います。

卒業後は、大手進学塾で中学受験に携わります。豊島こども大学で4年間、小学生と接してきた経験を活かして、教育に関わりたいと思って選んだ進路です。社会を変革するような大きなビジョンをもっているわけではありませんが、自分の関わったこどもたちが社会を変えていくかもしれない、そんな夢がふくらむ仕事だと思います。

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